水があった証拠が見つかっているのは( )である(照応解決)解答解説
「火星には,生命が存在する可能性がある。~」から始まる、「照応解決」の問題を解説しています。
【問題】
火星には,生命が存在する可能性がある。かつて大量の水があった証拠が見つかっており,現在でも地下には水がある可能性がある。
この文脈において,以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを1つ選びなさい。
かつて大量の水があった証拠が見つかっているのは( )である。
火星
地下
可能性
生命
※新井紀子 著 『AI vs 教科書が読めない子どもたち』より
【正解】
火星
【解説】
回答文を見ると
「かつて大量の水があった証拠が見つかっているのは( )である。」
と、「どこで」の部分が空欄になっており、
かつて大量の水があった証拠~のくだりから「どこで」の情報を読み取ればいいことがわかります。
※この文だけでは断定もできませんが、かつて大量の水があった証拠~のくだりを見ると
「どこで」が欠けていることがわかるので、確定です。
ところが、「かつて大量の水があった証拠が見つかっており,」の部分には
肝心の「どこで」という情報が書いてありません。
これは文脈上明らかなので、省略されています。
その「省略されたもの」が何なのかを特定するのがこの問題です。
代名詞や省略された要素が何を指しているのかを決める際に、
特定するヒントになるルールがいくつかあります。
ルール①原則として、すでに出てきたものを参照する(まれに例外あり)
ルール②名詞は名詞しか参照できない
ルール③参照先を参照元に代入したとき、矛盾や誤用が起きてはならない
「かつて大量の水があった証拠が見つかっており,」にかけている「どこで」の「どこ」を探すとき、
「かつて大量の水があった証拠が見つかっており,」に先行するのは「火星には,生命が存在する可能性がある。」だけなので、
この時点でその中の名詞「火星」「生命」「可能性」に絞られます(①②)。
そして「どこで」にハマるのは「火星」しかありませんので、答えは「火星」と決まります。
試しに「生命」「可能性」を入れてみる(代入する)と、
「生命で見つかった」「可能性で見つかった」と日本語として間違っていますから、
この2つではあり得ないことがわかります(③)。
もちろん、これは理屈であり、読んでいるときにいちいち止まって考えているのでは話になりません。
読み方は以下で説明します。
この理屈は指示代名詞や省略された語を答える問題で迷った時のヒントとしてお役立てください。
読み方のヒント
「Alex問題」でも説明したように、省略された語を認識しながら読むポイントは
「意識の持越し」です。
「火星には,生命が存在する可能性がある」最初にこのフレーズを読んだとき、
「火星には」という条件設定が意識されますが、
これを頭の中に残したまま、次のフレーズを読みます。
次のフレーズを読んだときに「地球では」のような相反する条件設定が出てきた場合は、
「火星には」のイメージはクリアすればいいですが、
そのまま残しても何も違和感が起きなければ、
持ち越して読んでいけばいいのです。
この持ち越した意識こそが、普段私たちが「文脈」と呼んでいるものの正体です。
入試でも良く出る「読めばわかる」問題;その出題理由は?
実際の学校の定期試験や入試問題でも、このように知識が無くても解ける問題というのは実は結構あります。
もちろん入試問題ともなればここまで簡単なものも珍しいと思いますが、
わざと受験生の誰もわからないような難しい言葉を使って、「読めばわかる問題」を出してきたりします。
入試をやる側からすると、講義を聞けば正しく理解できるような、
「勉強すればいくらでも伸びる」生徒に入ってきて欲しい
(日本語が理解できないような「伸びしろの小さい」生徒はできればご免こうむりたい)
と思っているからです。
難しい学校になると、受験生皆が勉強しているような知識問題だけでは点差が開きにくく、
そのような問題ばかりではうまく選抜できないという事情もあります。
裏を返せば、どんなに難しい言葉を使った文章にも対応できる読解力を身に着けていれば難関校で勝負できるということです。
ご家庭で簡単にできるトレーニング方法
文章を読むというのは、何か知識を教えただけですぐにできるようなものではないので、
こうすればすぐに「照応解決」ができるようになるという方法はありません。
地道に鍛えていくしかないのです。
ですが、時間はかかっても簡単にできるトレーニング方法があります。
お子様が何かを話すときに、文要素や修飾語が抜けていることは多々あるかと思いますが、
そのときにツッコミを入れる方法です。
主語が抜けているときは「何が?」「誰が?」、
必要な修飾語が抜けているときは「どこで?」「何に?」「何の?」「どんなふうに?」など
いちいちツッコミを入れるのです。
これにより、「文要素や必要な修飾語が抜けていると気持ち悪い」という感覚を持たせます。
そのような感覚が身についてくると、文章を読むときや人の話を聞く時も、
文要素や修飾語の存在を常に意識して読んだり、聞いたりするようになります。
時間的には何年もかかると思いますが、かなり効果的な方法です。
「短期間で鍛えたい!」「集中的に鍛えたい!」「そんなことしていたら親子関係が・・・」という方は、
以下もご覧ください。
読解力アップにお勧めの教材
新国語講座
基礎読解力というものは頭で理解するだけで身につくものではありません。文章を論理的に読む訓練が必要です。
よくある勘違いですが、市販の国語の問題集で長文読解をやみくもにやっても、基礎読解力は身につきません。
基礎読解力が無い方は短文を正確に読めないのですから、長い文章にやみくもに当たっても効果が出ないのは当然です。
この新国語講座では基礎読解力を6つのカテゴリに分けて、それぞれのカテゴリにフォーカスした問題を使って訓練することができます。
この新国語講座は論理的に正確に読むという点にフォーカスが当たっています。
じっくり時間をかけても正確に読めないという生徒さんにお勧めの教材です。
学習塾専用教材となっており、全国のお近くの学習塾で受講可能です。
近くの塾がリストに無い、塾ではなくオンラインで受講したいという方は、
速読解力講座やすららとセットでお得に受講できるメニューもあります。
速読解力講座
試験で成績を残すためには、「正確に読める」だけでは足りません。
試験には制限時間があり、その時間内で「速く正確に」読める必要があります。
学校の授業でも先生の板書や説明のスピードに追い付く必要があります。
せっかく文章を正しく理解する力があっても、スピードが追いつかないのなら「読めない」のと大差ありません。
高校入試も大学入試も近年語数が著しく増加しており、「速く読む」ことも含めて必須のスキルになりつつあります。
「速読解力講座」は認知能力や情報処理スピードにフォーカスが当たっており、
「速く読む能力」を身に着けるためのたくさんの種類のトレーニングを行うことができます。
情報処理が遅い生徒さんや、いつも試験で時間が足りなくなってしまう生徒さんにお勧めです。
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近くの塾がリストに無い、塾ではなくオンラインで受講したいという方は、
新国語講座やすららとセットでお得に受講できるメニューもあります。
すらら
すららは読解力特化の教材ではありませんが、
実はこのすららの「国語」が基礎読解力の養成に大変効果的な内容と構成になっています。
いきなり長文から始まるような国語教材には基礎読解力を上げるには向いていないというお話をしましたが、
このすららは1文を正確に読むためのスキルを身に着けるところから始まり、
2~3文程度の長さの文、中くらいの文、よくある国語問題集の長文くらいの文、
入試レベルの長文という形で順を追ってステップアップしていく構成になっています。
そして1文の読解や2~3文・中くらいの長さの文の読解のフェーズでは、
この問題でも取り上げた照応解決、係り受け、推論、具体例同定など
基礎読解力6分野のうち5分野を丁寧にカバーしていて、まさに基礎読解力養成に適した内容になっています。
すらら国語でカバーされていないのは基礎読解力6要素のうち「イメージ同定」のみですが、
こちらは算数(数学)・理科・社会でカバーすることができます。
しかもこのすらら、受講者はもれなく無料のコーチングサービスを受けることができます。
生徒さんの実力や学習段階に合わせた目標を、学習塾経営者がたててくれ、進捗管理までしてくれます。
確かな読解力が身につくまで二人三脚で伴走してくれるというわけです。
私も現役のすららコーチとして活動していますが、その際、理解力に課題がある生徒にはまずこの国語を勧めています。
この教材を順を追ってやっていけば読解力が上がり、勉強全体が進めやすくなるという確信があるからです。
すららの国語は
・トレーニングだけでなく、説明もじっくり聞きたいという生徒さん
・基礎読解力を長文につなげたい生徒さん
・進捗管理や学習計画までみてほしい生徒さん
など幅広い層にお勧めできます。
このすららもリュケイオン・オンラインで3~4教科8,800円・5教科1,1000円で受講することができます。
値段はすららネットで直接受講するのと変わりませんが、リュケイオンオンラインでは質問ができたり、
他の講座の割引が受けられたりといった他にはない特典があります。