脳の仕組みから考える効率の良い勉強法🧠①実は誤解だらけだった"忘却曲線"の話(2本目/3本中)
誤解だらけの忘却曲線!忘却曲線からわかることについて解説しています。
こんにちは。
リュケイオンの大村です。
今日の記事は、前回の続き、
忘却曲線から何が分かって、どのように学習に応用できるか
について書いていきます。
前回の記事を読んでいない方は、ぜひ前半の記事もお読みください。
誤解③ エビングハウスの実験からわかること
さて、ここからが本題。
前回の誤解①のところでちらっとお話ししましたが、
縦軸に「節約率」をとったところがエビングハウスのすごいところなんです。
もし縦軸が「記憶の量」だったらどうなると思いますか?
その人の能力や、頭の使い方如何によって結果は様々に変わってしまいます。
それでは人間ならだれでも持っているような、"記憶の性質"を調べることができません。
エビングハウスは「節約率」を縦軸に取ることで、
そのような"ノイズ"をほぼ発生させないことに成功したのです。
つまり、この「忘却曲線」というのは、
学歴が高い人もそうでない人も、人種にも、性別にも、性格にも、
他のあらゆる要素に関係なく、ただ人間であるという共通点だけで
ほとんど同じようなカーブを描くわけです。
これによって、誰にでも備わっている記憶の性質が明らかになります。
忘却曲線を見ると、ある程度の時間が経っても「節約率」がゼロにならないことに気が付くでしょう。
「思い出せない=情報が完全に消えた状態」だとしたら、
学習前の状態に戻っている(=節約率がゼロ)はずですが、そうはなっていない。
つまり
思い出せなくなっていても、完全に学習前の状態に戻るのではなく、何らかの形で何らかの情報が脳に残っている。
ということがわかります。
また、
右肩下がりの直線にならず、反比例のグラフのような曲線を描いていることから、
記憶は短時間で無くなってしまう情報と長期間残っている情報で構成されている
ということも示唆されるのです。
さらに、興味深いのは
忘却曲線はほぼすべての人が同じようなカーブを描くわけですが、
若干緩やかになっている1群も見つかりました。
調べたところ、このグループの人たちは実験に使われた無意味音節に、
その頭文字で始まる単語を結び付けて記憶するという方法をとっていたこともわかりました。
ここから、
ほかの情報と結びつけることによって、記憶は強化される
という性質もわかります。
加えて、この忘却曲線は覚えなおす作業を繰り返すこと(=脳の情報に繰り返しアクセスする行為)で、
その忘却曲線の描くカーブは緩やかになっていくことが分かりました。
ここからわかるのは、
"脳の同じ情報に繰り返しアクセスする行為"を繰り返すにしたがって、長期間残る情報に変化する
という記憶の性質です。
ここまで「忘却曲線」で明らかになった記憶の性質をまとめましょう。
Ⅰ.思い出せなくなっても、まったくの振出しに戻るわけではない(1回目の学習は無意味ではない)
Ⅱ.記憶は短時間しか残らない情報と長期間残る情報の組み合わせでできている
Ⅲ.ほかの情報と結びつけることによって、記憶は強化される
Ⅳ."脳の同じ情報に繰り返しアクセスする行為"を繰り返せば繰り返すほど、記憶は強化される
少し長くなってしまいましたので、今日はこの辺で終わりにします。
次回はこの性質を生かした勉強法について書いていこうと思います。
リュケイオン・オンラインでは、このような知見を活かした勉強法の指導やコーチングを行っています。
無料体験も行っておりますので、ぜひご活用ください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。